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こんにちは、本多です。
桂枝加葛根湯の続きです。
前回に続き、
腹證奇覧の桂枝加葛根湯の原文を抜粋しています。
桂枝加葛根湯
抑、近世古方ノ盛ンニ行レルニヨリ、
復タ其ノ證ヲ審ラカニセズ、風邪感冒ノ證ニアエバ、
輙、葛根湯ノ證トシテ、誤治スルモノ往々コレヲ見ル。
余、其ノ跡ヲ考ウルニ、大率、黄耆桂枝湯ヲ用ウベキモノ、
此ノ瘀水ヲ逐ウノ剤ヲ用ウルニヨリ、
益々、陽気ノ衛リヲ少ナカラシム。
邪気去ラズシテ、反ッテ壊證ヲナス所以ナリ。
證ニ云ワク
「太陽病、汗無クシテ小便反ッテ少ナク、
気上ッテ胸ヲ衝キ、口噤ミテ語ルヲ得ズ、剛痙ヲ作ント欲スルハ、
葛根湯之ヲ主ル。」ト。
是レ亦、無汗ニシテ小便反ッテ少ク、
水気去ル所ナキ以ッテ、痙ヲ発セントスルナリ。
痙ハ反張(反リ返ル)ノ病ニテ、産後若シクハ刀傷瘡口等ヨリ、
水入ルトキハ、亦此ノ病ヲ発スルニテ、表水ノ致ストコロナル事ヲ知ルベシ。
是レヨリ推シヒロメテ、疥癬・内逼シテ水腫スルモノノ類ニ用イテ功アルコト、
皆一帰趣ニシテ、瘀水ヲ汗ニシ去リ、
兼テ気血ヲ和解スルコトヲ知ルベキナリ。
腹證奇覧の原文には
金匱要略の
桂枝加黄耆湯と葛根湯についての記載がみられます。
桂枝加葛根湯を用いるべき場合に、
葛根湯を用いて誤治することがよくあり、
もし誤治した場合は桂枝加黄耆湯を用いるべきなのに、
更に葛根湯を使用し続けた場合、
陽気を損傷してしまい、
邪気をはらうことができずに、
症状が治るどころか
反って壊病(誤治により病態が崩れる)となる。
とあります。
黄耆(おうぎ)
マメ科のキバナオウギ、ナイモウオウギなどの根。
性味:甘・温
帰経:脾・肺
主な薬効と応用:
①補気昇陽:脾肺気虚の元気がない・疲れやすい・無力感、
食欲不振・息切れ・自汗・泥状便などの昇降時に用いる。
②補気摂血:気不摂血による血便・不正性器出血・皮下出血などの症状時に用いる
③補気行滞:気虚血滞による肢体の痺れ・運動障害・半身不随などの症状に用いる。
④固表止汗:表虚の自汗・盗汗時に用いる。
⑤托瘡生肌:気血不足のために癰疽瘡瘍(皮膚化膿症)の化膿が遅い、
排膿しない・潰瘍を形成する・滲出液が続く・傷口が癒合しないといった症状時に用いる。
⑥利水消腫:気虚の水湿不運による浮腫・尿量減少などに用いる
備考:性質が温昇で助火し補気固表するので、
表実邪盛・裏実積滞・気実胸満などには用いない。
桂枝加黄耆湯は
桂枝湯に黄耆を加えたもので
調和営衛・通陽袪湿の効能がある。
桂枝湯で営衛を調和して
黄耆は益気固表、袪湿の効能があるので、
湿を除き衛気を固めることができます。
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原文の、
證に曰わくとは
金匱要略での記載をあらわします。
證二云ワク、
「太陽病、無汗、而小便反少、氣上衝胸。口噤不得語、欲作剛痓、葛根湯主之。」
太陽病で無汗、小便が反って少なくなり、
上焦に気が衝き上げたもの。
「口噤」は口が開かず、
そのため会話ができないことをあらわし、
痓とは筋肉の異常緊張を伴う状態で、
剛とは程度の大きいことなので、
破傷風による
角弓反張 (かくきゅうはんちょう)の状態であると想定されます。
これらの症状に葛根湯が用いられるという記載になります。
ただし、
角弓反張だけではなくて、
喋れない程に筋肉が緊張してしまった場合に
葛根湯を用いることができます。
参考文献:
『漢方概論』 創元社
『腹證奇覽』 盛文堂
『腹證奇覧 全』 医道の日本社
『傷寒雑病論』
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版
『症状による中医診断と治療』 燎原
『中医臨床のための方剤学』
『中医臨床のための中薬学』 神戸中医学研究会