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こんにちは!北野です。
今回は前回の続きで心・小腸弁証について
書いていきたいと思います。
【2】心陽虚証
【臨床所見】
心悸、怔忡、胸悶、息切れ、
顔面晄白、畏寒、四肢の冷え、心痛、
舌質淡胖、舌苔白滑、脈微細
【証候分析】
①心悸、怔忡、胸悶、息切れ:
心陽虚は、心気虚がいっそう進んだものである。
これらの証候は、心気虚と心陽虚に共通して
現れるものである。
②顔面蒼白、畏寒、四肢の冷え:
陽気が虚衰し、温煦機能が低下して現れる。
③心痛:
陽虚によって内寒が生じ、
寒が経脈に影響して、
気機が鬱滞し心脈が阻滞すると、
心痛がおこる。
④舌質淡胖、舌苔白滑:
陽虚寒盛の象。
⑤脈微細:
心陽虚のため、血行の推動が低下し、
血液が脈道に充足しなくなった現れである。
【治療】
治法:振奮心陽(心陽を奮い立たせること)
治療穴:手厥陰経穴、本臓の背兪穴、足陽明経を主に取る。
手法:針にて補法を施す。灸法の併用も可。
【3】心陽暴脱証
【臨床所見】
冷汗がしたたる、四肢厥冷、呼吸微弱、
顔面蒼白、口唇青紫、意識がはっきりしない、
心痛、脈微弱欲脱。
【証候分析】
①冷汗がしたたる:
陽気が急激に虚衰するために、
虚陽が体表に浮越し、衛表から
暴脱するときに油状の汗がしたたる。
②四肢厥冷:
陽気衰弱のため、温煦機能が低下しておこる。
③呼吸微弱:
心陽が衰弱し、宗気が減少し、
肺を助けることができなくなっておこる。
④顔面蒼白、口唇青紫:
陽気が暴脱し、血行の推動が低下し、
絡脈がオ滞するためにおこる。
⑤意識がはっきりしない、昏睡:
心陽が衰弱し、神明を主どる機能を
維持できなくなっておこる。
⑥心痛:
陽虚寒盛により、寒が心脈を凝滞させるためにおこる。
⑦脈微弱欲脱:
心陽暴脱のため、血脈の推動機能が低下しておこる。
【治療】
治法:回陽救逆
治療穴:手厥陰経、手少陰経、任脈経穴を主に取る。
手法:針灸併用。針は補法を施す。
◉心気虚、心陽虚、心陽暴脱証の鑑別
心気虚証とは、心の機能衰弱を特徴とする。
心陽虚証は、この心気虚をベースにさらに
虚寒症状が現れたものである。
また心陽暴脱証は、心陽虚をベースにして
虚脱亡陽の症状が現れたものである。
【4】心血虚証
【臨床所見】
心悸、怔忡、不眠、多夢、
眩暈、健忘、顔色は淡白で艶がない、
萎黄、口唇の色は淡、舌質淡、脈微細弱
【証候分析】
①心悸、怔忡:
心血が不足しているために、
心を養うことができなくなっておこる。
②不眠、多夢:
心血不足のため神を養えずに
神明が乱れておこる。
③眩暈、健忘:
血虚により脳髄を濡養
できなくなるためにおこる。
④顔色がすぐれず、唇や舌の色は淡:
血虚の象である。
⑤脈細弱:
血液が脈道に充足していない現れである。
【治療】
治法:補益心血
治療穴:手少陰経穴、本臓の背兪穴を主に取る。
手法:針にて補法を施す。灸は用いない。
以上
心陽虚証、心陽暴脱証、心血虚証に
ついて書かせて頂きました。
北野
参考文献:
『針灸学』東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社