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北野です。
今回は新たに臓腑弁証について書いていきたいと思います。

臓腑弁証

臓腑弁証とは、各蔵府の生理機能にもとづき
疾病において現れる各症状を分析し、
帰納を行い、その病理機序を明らかにして、
病変部位を判断する方法である。
中医学には数多くの診断方法があるが、
どの方法においても、疾病の部位を明確に
するためには臓腑という視点が必要となる。
たとえば八網弁証の1つに陰虚証があるが、
これは心、肺、肝、腎、胃という各臓腑に
生じる病証であり、治療においてはどの臓腑の
陰虚なのかを明確にしなければならない。
臓腑弁証は、臨床上きわめて実用性が高く、
弁証体系においては重要な位置づけがなされている。
臓腑間および臓腑と各組織器官とのあいだには
密接な相関関係がある。したがって、
臓腑弁証を行う場合には、臓病弁証、腑病弁証、
臓腑相関弁証の3つがあるが、このなかでは
臓病弁証が臓腑弁証の中心的な内容となっている。
臓腑間には表裏の関係があり、
病理上もしばしば相互に影響しあう。
そのため、本節では腑病弁証を、
関連する臓病弁証と並行させて
解説していくことにします。

≪1≫心・小腸病弁証

心の病証には、虚証と実証がある。
心の虚証は、長期にわたる病気のため
正気を損傷したり、禀賦不足、
あるいは思慮傷心などが原因となって、
心気や心陽を損傷したり、
心陰や心血を損耗しておこるものが多い。
また心の実証は、痰阻、火擾、寒凝、
瘀滞、気鬱などによりおこるものが多い。
心病の常見症状……心悸、怔忡、心煩、
心痛、不眠、多夢、健忘、譫語

【1】心気虚証

【臨床所見】
心悸、怔忡、胸悶、息切れ、
活動後に症状が増悪する。
顔色は淡白あるいは自汗がある、
舌質淡、舌苔白、脈虚。

【症候分析】
①心悸、怔忡:
心気が虚衰すると、血脈の運行を
維持しようとして、心の鼓動に過剰な
負担がかかるためにこの症状が生じる。

②胸悶、息切れ:
心気が不足すると、胸中の宗気の
推動機能が低下するためにおこる。

③活動後に心悸などの症状が増悪:
活動すると気を消耗して、
心気がますます虚すので症状が増悪する。

④自汗:
気が虚すと、衛外不固となるため
自汗がおこる。

⑤顔色は淡白、舌質淡、舌苔白:
心気不足のため、血行の推動が低下し、
血液が充分に顔面部に到達しないためにおこる。

⑥脈虚無力:
心気虚のため、血行の推動が低下しておこる。

【治療】
治法:補益心気
治療穴:手少陰経、手厥陰経、足陽明経穴を主に取る。
手法:針にて補法を施す。灸法も可。

次回は心・小腸弁証の続きを書いて
いきたいと思います。


 

参考文献:

『針灸学』                    東洋学術出版社
『中医診断学ノート』     東洋学術出版社

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