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こんにちは、大原です。
前回(営衛不和とは その1)の続きです。
太陽病の傷寒と中風における、
営衛不和のメカニズムについて具体的にみていきます。
太陽経を外邪が襲った場合の病証として、
中風、傷寒という区別がありますが、
どちらも症状としては「風邪をひいた」と
表現されることが多いですね。
ですが、
中風か傷寒かによってその治法が異なるため、
それぞれの特徴を知っておかなければ
誤治になってしまう可能性があります。
傷寒と中風の二つの区別のしかたとして、
よく教科書に書かれているのが
「悪風」(風を嫌がる)があれば中風証で
「悪寒」(服を着込んでも寒がる)があれば傷寒である
というものです。
ですが、傷寒である場合にも
冷たい風に吹かれた場合には風を嫌がるでしょうし、
中風証である場合にも
「厚着してもなんとなく寒気がします」という方も
実際にいらっしゃいます。
さて、中風か傷寒かの鑑別で有力なのが、
「汗」をかいているのか、かいていないのか
であるとされています。
これは
太陽病、発熱、汗出、悪風、脈緩者、名為中風(太陽病上篇 第2章)
太陽病、頭痛、発熱、身疼、腰痛、骨節疼痛、悪風、無汗而喘者、麻黄湯主之
(太陽病中篇 第35章)
とあることが、根拠となっていると思います。
ここで、
外感病における汗の有無とは
何を意味するのでしょうか?
外邪に侵された場合に、衛気や営気の循行が
うまくいかなくなった場合に
発汗の異常が行われるということですが、
さらに突っ込んで考えてみましょう。
まずは教科書的な解釈から述べていきます。
寒邪には凝滞性があり、襲ったものを停滞させます。
衛気を襲った場合には衛気が循行しなくなり、
体表(腠理)から出るはずの汗が外に出ず、
内(営分)に閉じ込められてしまいます。
つまり、営分も停滞することで
肌肉の痛み(肩こりなど)につながります。
脈象は、縄がピンと張ったような緊脈になるとあり、
これも寒邪の凝滞性からきているようです。
風邪は遊走性があり、
邪の中で一番はやく人体に影響を及ぼします。
このことを「風は百病の長である」といいます。
すなわち、衛気を他の外邪に先駆けて
いちはやく侵食していくようなイメージです。
脈象は、衛気のバリアが崩れたために緩脈となります。
衛気の機能が弱る(または衛気自体が少なくなる)ため、
体表の固摂機能が失われ、
営分から水液が漏れ出ることから
腠理から多くの汗が出てきます。
このような発汗の異常にみられる
衛気と営気の失調を営衛不和といいますね。
(前回の記事より)
上記が汗の異常の教科書的な理由になります。
参考文献:
『基礎中医学』 燎原
『臨床応用傷寒論解説』 創元社
『傷寒論を読もう』 東洋学術出版社
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。