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こんにちは北野です。
前回の続きで衛気営血弁証の
営分証、血分証について書いていきたいと思います。
【3】営分証
営分証は、温熱の邪気がさらに深く内陥したものであり、
営陰(営とは血中の気のこと)が損傷し、
心神が影響を受けるという特徴がある。
【臨床所見】
身熱があり、夜に憎悪する、口渇はひどくない、
心煩、不眠、あるいは意識障害、
譫語がおこる、斑疹、舌質紅絳、脈細数。
【証候分析】
①身熱、口乾、脈細数:
邪熱が営分に入り、営陰を損傷すると真陰にも影響が及ぶ。
②心煩、不眠、意識障害、譫語:
営気は心に通じており、営分に熱があると
心神に影響しやすい。また邪熱が心包に
内陥すると、意識障害、譫語がおこる。
③舌質紅絳:
営分に熱があると、その熱は血分にも波及しやすい。
④斑疹:
熱が血絡に影響して現れる。
【治療】
治法:清泄営熱
治療穴:手陽明経、足少陰経、督脈経穴を主に取る。
手法:補瀉兼施。灸法は用いない方がよい。
【4】血分証
血分証は、温熱病のうち最も深く重い段階である。
血分病の病変特徴は、耗血、動血、傷陰、動風である。
【臨床所見】
営分証の症状に、さらに次のような症状が加わる。
高熱、狂躁、はっきりと斑疹がでる。
①吐血、衄血、便血、尿血、舌質絳紫。
②意識障害、躁動(手足をばたばたさせる)、手足の痙攣、
頸項部の強直、角弓反張、両目上視、牙関緊急。
③持続性の微熱、暮熱早冷、五心煩熱、
口咽乾燥、精神不振、難聴、舌上の津が少ない。
④身体が痩せてくる、唇や舌が萎縮する、
歯が乾き艶がなくなる、目が陥没する、傾眠、
両頬部が赤い、手足がピクピク動く、
痙攣することもある、脈虚数あるいは細促。
【証候分析】
①高熱:
邪熱が血分に入ると、発熱は営分にあるより強くでる。
②狂躁、昏睡:
血熱が心に影響しておこる。
③斑疹、各種出血:
血熱妄行によりおこる。
④舌質紫絳:
血熱が盛んな現れである。
⑤手足の痙攣、頸項部の強直、角弓反張、両目上視、牙関緊急:
肝には蔵血機能があるが、これらの症状は血熱が
肝経に影響しておこる肝熱動風の象である。
⑥潮熱、五心煩熱:
邪熱が久しく体内にあって肝腎の陰を損傷すると、
陰虚のため、陽熱が盛んになっておこる。
⑦口舌が乾燥する:
陰虚のため、陰精が口や舌に到達できないとおこる。
⑧精神不振、傾眠:
陰精が虚し、そのため神がしっかりしないためにおこる。
⑨手足がピクピク動く、あるいは痙攣する:
真陰を損傷し、血が筋を栄養しないと筋脈が拘攣し、
虚風内動がおこる。
⑩身体が痩せてくる、唇や舌が萎縮する、
歯が乾く、目が陥没する:
真陰を損傷し、臓腑や組織器官が陰精の滋潤、
濡養を受けられなくなっておこる。
⑪脈虚大数あるいは細小促:
陰虚のため歛陽(陽を引きしめること)が
できなくなり、陰陽不和となって現れる。
【治療】
治法:清熱涼血
治療穴:足少陰経、足厥陰経穴、任脈経穴を主に取る。
手法:針にて補法を施す。督脈経穴には、瀉法を施す。灸法は用いない。
以上衛気営血弁証について書かせて頂きました。
北野
参考文献:
『針灸学』 東洋学術出版社
『中医診断学ノート』東洋学術出版社