日の出と共に出発
日の出と共に出発

下野です。
もう2月も終わりにさしかかり、
そろそろはり・きゅうの国家試験ですね。
受験生は本番で実力が発揮できるよう、
体調管理にはくれぐれも御注意ください。

では『薬性の歌』に参ります。


【原文】
鼈甲酸平、労嗽骨蒸、散瘀消腫、去痞除崩。
海螵蛸鹹、破血除癥、通経消腫、目翳心疼。
火麻味甘、下乳催生、潤腸通結、小水能行。
山豆根苦、療咽腫痛、敷蛇蟲傷、可救急用。
益母草甘、女科為主、産後胎前、生新去瘀。

<第三十三に続く>


【解説】
鼈甲は酸平。
慢性の咳嗽や骨蒸発熱に用いる。
瘀を散じて腫瘍を消し、
痞を取り去り、崩漏を除く。

海螵蛸は鹹。
破血して癥(腹腔内の塊)を取り除く。
経を通じさせ腫瘍を消し、
眼球のくもりや心疼に。

火麻は味甘。
乳を下して出産を促す。
腸を潤して結を通じさせ、
小水もよく出る。

山豆根は苦。
咽の腫痛みを療する。
蛇虫の傷に塗り、
救急の際に用いる。

益母草は甘。
女科を主とし、
産後や出産前の諸症状に。
瘀を去って、新を生じさせる。

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◉鼈甲

スッポン科のシナスッポンの
背甲、もしくは腹甲。
性味:鹹・寒
帰経:肝・脾・腎
効能:
①滋陰潜陽
・陰虚火旺の骨蒸発熱や寝汗、夜間の高熱などに。
方剤例 → 清骨散・秦艽鼈甲湯・青蒿鼈甲湯・鼈甲養陰煎・秦艽扶羸湯
・熱病傷陰の虚風内動で四肢の引きつり、痙攣を呈す時に。
方剤例 → 二甲腹脈湯・三甲腹脈湯・大定風珠。

②軟堅散結・破瘀通経
・肝腫や脾腫などの腹腔内腫瘤や無月経に。
方剤例 → 鼈甲煎丸・鼈甲丸

◉烏賊骨(海螵蛸)

コウイカ科コウイカなどの甲骨。
性味:鹹・渋・微温
帰経:肝・腎
効能:
①収斂止血
・不正性器出血や月経の過多に。
方剤例 → 固衝湯。
・吐血や喀血に。
方剤例 → 烏芨散。
・血便や痔の出血に。
・創傷の出血に。

②固精止帯
・腎虚の遺精や早漏などに。
・出血性の帯下に。
方剤例 → 白芷散

③生肌祛湿
・湿疹や潰瘍などに。
方剤例 → 祛湿排膿散

④その他
・胃炎や胃潰瘍に。

◉麻子仁(火麻)

麻子仁
麻子仁

アサ科アサの種。
性味:甘・平
帰経:脾・胃・大腸
効能:
①潤腸通便・滋養補虚
・老人や虚弱者、婦人の産後の
血虚津枯による腸燥便秘に。
方剤例 → 麻仁蓯蓉湯・潤腸丸・潤腸湯。
・胃熱の腸燥便秘、習慣性の便秘に。
方剤例 → 麻子仁丸。

こちらに関しては、
為沢先生も解説を書かれておりますので、
そちらも御参考下さい。
→ 【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百七十七章・百七十八章

◉山豆根

マメ科クララ属植物の根部。
性味:苦・寒
帰経:心・肺・胃
効能:
①清熱解毒・利咽消腫
・肺胃火毒の上攻による咽や歯齦の腫れや痛みに。
・歯齦の腫れ、歯痛に。

②その他
・肺・咽頭・子宮など各種の早期癌に。
・皮膚潰瘍や子宮頸部炎、口内炎に。

◉益母草

シソ科ホソバメハジキ、メハジキの全草。
性味:辛・微苦・微寒
帰経:肝・心・腎
効能:
①活血祛瘀
・血瘀の月経不順や月経痛、無月経、産後瘀阻の腹痛、性器出血に。
方剤例 → 益母丸。
・難産や胎盤残留に。
方剤例 → 送胞湯。
・打撲による内出血や腫れ、痛みに。

②利水退腫
・浮腫や尿量減少に。

③その他
・乳腺炎や皮膚化膿症に。


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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