こんにちは、大原です。
春になると、つくしやアスパラガス、
春キャベツ、ふきのとうなどなど、
多くの山菜や野菜が旬になりますね!
素問の五蔵生成篇では
「心は苦を欲し、肺は辛を欲し、肝は酸を欲し、
脾は甘を欲し、腎は鹹を欲す」とあり、
東洋医学では、「酸」の味は
五蔵の「肝」に関係が深いとされています。
これは、「酸」はそのまま「酸っぱい味」のことで、
そのような酸味のものは
「肝気」「肝血」さらには「筋」など
肝の臟に関わるあらゆる組織に作用するということです。
ほどよい酸味は肝を養いますが、
「酸は筋を傷る」(素問 陰陽応象大論)とあるように
酸味の取り過ぎは
肝に関わる組織を損なってしまうともあります。
確かに酸っぱい物を口にすると、
力仕事や運動で疲れた時などは
だるさなどの疲れが少し取れるようにも感じます。
ですが、取り過ぎると
胃のあたりが気持ち悪くなったりします。
酸味の働きは
「酸は収」(素問 臟気法時論)とあることから
「収斂作用」であるとされています。
この「収斂(しゅうれん」)とは
「引き締める」「縮める」という意味があるようで、
弛緩しているものをギュッと
させるようなイメージです。
これが「筋」に働くと、
弛緩している「筋」を
引き締める作用があるといえます。
また、肝気が不足するなどして
肝の蔵血が少なくなった場合にも、
酸味が肝に作用することで肝気を増やし、
蔵血を促す働きがあるのではないでしょうか。
蔵血が正常な状態になると、筋も潤い、
筋の正常な動きを助けるようになると思います。
しかし、酸味を取り過ぎると、
筋は収斂しすぎて萎縮していくようです。
ちなみに、春の旬の山菜や春野菜の味は、
「酸」というよりも
苦味が多いような気がします。
ちなみに「苦は堅」とあり、
苦味は文字通り固めるような作用があるようです。
まとめると、
・春の旬のもの→「苦味」
・五臓の「肝」←「酸味」
となり、必ずしも季節と旬の味は
一致しないですね。
ですが、春の季節に苦味の多い山菜や野菜が
出てくるということには
意味があるように思います。
春の季節は肝気が昂ぶりやすいので、
肝気・肝血を消耗しやすい時期ともいえると思います。
そのような時期に旬である苦味を取ることで
陰液(血・津液)を固め、
消耗した血を補う作用もあるのではないでしょうか。
飲食は、取り過ぎたり少なすぎたりすると
体調を崩したりすることから、
病因の一つとしても古典に記されています。
(ちなみに飲食は、病因としては
六淫:外因、七情:内因に対して
「不内外因」であるとされています。)
身体の状態も考えながら、季節や時期ごとに、
身体の欲している味・量を摂ることが大切ですね。
参考文献:
『臨床に生かす古典の学び方』 医道の日本社
『基礎中医学』 燎原
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原
生命が開いたばかりの土に開いたものはまだまだうまく分化が進んでいないので、
半分太極の記憶に近い者であるよ。
赤ちゃんもそうでしょ。
昼夜の別もしばらくはなく、
母乳で育ち、
水穀から気血を生成し、五臓六腑に届けるというシステムも通常の人のそれとは
違うわけだからキミの言う苦みというのは、よくよく噛みしめると、
あらゆる味と匂いを含んだ複雑なものだよ。
成った後の息吹を見てみよう。
果実はやはり酸味を抱くし、
開いた落葉樹の葉を噛みしめても
四季の別がきちんとあります。
土から芽を開いた若葉を見るのもそうだが、一度目線をキミの背の高さから
或いは天に向けてみて。
キミの言っている春の息吹はたくさんあるから。
コメントありがとうございます。
春に苦味の多い山菜や野菜が出てくる意味が
少し分かったような気がします。
目線を拡げて春の息吹を探してみたいと思います。