下野です。
先日 十数年ぶりに昔の仲間達と
食事を共にする機会がありました。
父親・母親になった者、
企業の責任者になった者、
独立した者など
それぞれに色んな思いを背負って
今を頑張っており、
皆 格好良く、良い刺激になりました。
では『薬性の歌』に参ります。
【原文】
木賊味甘、益肝退翳、能止月経、更消積聚。
決明子甘、能除肝熱、目疼收涙、仍止鼻血。
犀角酸寒、代毒辟邪、解熱止血、消腫蛇毒。
羚羊角寒、明目清肝、即驚解毒、神智能安。
亀甲味甘、滋陰補腎、逐瘀続筋、更醫顱顖。
<第三十二に続く>
【解説】
木賊は味甘。
肝を益し、目の陰りを退け
月経を止め、積聚をも消す。
決明子は甘。
肝の鬱熱を捌き、
目痛や流涙を収める。
鼻血をも止める。
犀角は酸寒。
解毒し邪をさけ、
解熱、止血する。
毒蛇に咬まれた腫れを消す。
羚羊角は寒。
清熱明目に働き、
驚をさり解毒し、
意識障害に効果がある。
亀甲は味甘。
滋陰し補腎して
瘀を逐い筋をつなぐ。
小児の泉門不合の良薬。
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◉木賊
トクサ科トクサの地上部。
性味:甘・苦・平
帰経:肺・肝・胆
効能:
①疏風熱・退翳膜・明目
・風熱の目の充血や角膜混濁に。
方剤例 → 神消散。
・流涙が多い場合に。
◉決明子
マメ科のエビスグサ、コエビスグサの
成熟した種子。
性味:甘・苦・鹹・微寒
帰経:肝・胆・腎
効能:
①清肝益腎・祛風明目
・風熱の目の充血や腫れ、痛み、又は頭痛に。
方剤例 → 決明子散・菊花決明散。
・肝火上炎の目の充血や腫れ、痛み。
又は頭痛やイライラ、易怒に。
・肝腎陰虚による視神経萎縮の視力低下に。
方剤例 → 決明丸。
②潤腸通便
・腸燥の便秘や習慣性の便秘に。
◉犀角
サイ科のインドサイ、ジャワサイ、スマトラサイ、
クロサイの角。
性味:苦・酸・鹹・寒
帰経:心・肝・胃
効能:
①清心定驚
・熱入営血の夜間高熱・意識障害・譫語などに。
方剤例 → 清営湯・清宮湯。
・邪熱内陥心肝の痙攣や意識障害に。
方剤例 → 紫雪丹・安宮牛黄丸・至宝丹。
②涼血解毒
・熱入営血、血熱妄行の皮下出血や吐血、鼻血に。
方剤例 → 犀角地黄湯。
・気血両燔の口渇、高熱、発汗、意識障害や吐血に。
方剤例 → 化斑湯・犀角大青湯。
◉羚羊角
ウシ科のサイガカモシカの角。
性味:鹹・寒
帰経:肝・心・肺
効能:
①凉肝熄風
・熱極生風の高熱や痙攣に。
方剤例 → 羚羊釣藤湯・清熱鎮痙散。
・肝陽上亢の眩暈や頭痛に。
②瀉火明目
・肝火上炎の目の充血や角膜混濁に。
方剤例 → 羚羊角散。
③散血解毒
・温熱病の高熱や意識障害、譫語などの症状に。
・熱毒による皮膚化膿症や麻疹の内陥に。
◉亀板(亀甲)
イシガメ科のクサガメの腹甲。
性味:鹹・甘・寒
帰経:腎・心・肝
効能:
①滋陰潜陽・清虚熱
・陰虚火旺の骨蒸発熱や盗汗、遺精などに。
方剤例 → 大補陰丸。
・陰虚陽亢の眩暈、ふらつき、頭痛などに。
方剤例 → 鎮肝熄風湯。
・熱病傷陰の虚風内動の焦燥、筋のひきつり、痙攣に。
方剤例 → 三甲復脈湯・大定風珠。
②益腎強骨
・腎精の虚による腰・膝の無力、筋骨の弱り、小児の泉門の閉鎖遅延に。
方剤例 → 虎潜丸。
③固経止崩
・陰虚血熱の不正性器出血や月経過多に。
方剤例 → 固経丸。
④養血補心
・心血虚の驚きやすい、心悸、健忘、不眠などに。
方剤例 → 枕中丹。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
『中医病因病機学』 東洋学術出版社
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下野