こんにちは、大原です。
春の季節は、東洋医学では
五臓の中で「肝」と関わるとされています。
肝気が昂ぶるなどとよく言われますが、
五臓の「肝」には
上向きに気を発散させる働きがあります。
冬の間に眠っていたものが目覚めようと、
今まで地中で休んでいた気が
上に向かってぐっと起き上がってくるような
春のイメージが、
この肝の働きに似ているためだからです。
さて、春に関係する五臓の「肝」について、
古典ではどのように記されているでしょうか。
「久しく行えば肝を傷る」(素問 宣明五気篇)
→これは、「何かを根気よく行えば肝を傷つける」
という意味のようです。
これは、季節的な意味合いというよりも、
臓腑の働きをもとに記された内容です。
肝は蔵血を主るとされ、
さらに、肝は筋を主ることから、
何かを根気行うことで筋肉は疲労し、
血も消耗してしまい、
肝に負担がかかるということだと思います。
さて、このように肝に負担がかかった場合、
すなわち肝に蔵された血を消耗した場合は
どのようになるでしょうか?
血を消耗しているため、疲労感が出てきます。
血は、身体(筋)を動かしたり、
思考・判断に必要だからです。
仕事などで身体や頭を休ませることができない人は、
どうにか血を循環させようと、
人によっては珈琲やお茶などカフェインを摂取して、
疲労をごまかしながら
活動するという方が多いのではないでしょうか。
(自分もそのようにする事がありますが、
後でどっと疲れが出ます・・・)
肝は疏泄・条達を主るとも言われ、
これは肝気によって、
蔵された血を含め全身の気血を循環させるということですが、
肝気がへたった場合に
珈琲などカフェインの摂取によって、
人為的に疏泄を行っているといえると思います。
また、「志にありては怒となす、怒は肝を傷る」
(素問 陰陽応象大論)とあり、
これは肝の疏泄、すなわち、気血をめぐらせる
積極的な働きを言い換えたものといえます。
気血が頭にめぐりすぎると
「頭にきた!」といって怒りモードになりますが、
ここでの「怒」は
頭にくる以外にも幅広い意味合いがあるようです。
頭にくる状態が長く続くと
精神的にも疲労し、これが体調不良の原因になり得ます。
(このような不調の原因となる精神状態を内因といいます。)
春の季節は、自然に気が上がりやすくなります。
心穏やかに、そして珈琲も飲み過ぎないように
過ごしたいものですね。
参考文献:
『臨床に生かす古典の学び方』 医道の日本社
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原