こんにちは、北野です。
今日は前回の気血弁証の続きを
書いていきたいと思います。
【3血熱証】
血熱証は、臓腑の火熱が盛んとなり、
その熱が血分に影響して生じる証候である。
血熱証、煩労、飲食過度、発作的な怒りによる
肝の損傷などから火熱を生じ、それが血分に
浸淫して生ずる場合が多い。
【臨床所見】
咳血、吐血、血尿、衄血、舌質紅絳、脈弦数
【証候分析】
①各種出血:臓腑の火熱が血分に内迫し、局所の血絡を損傷しておこる。
肺絡を損傷すると咳血や喀血が、胃絡では吐血が、
膀胱経では血尿がおこる。衄血には、鼻衄、歯衄、舌衄、
肌衄などがあるが、これらも火が局所の絡脈を損傷するためにおこる。
②舌質紅絳:血熱のため、気血が脈絡に充ちるために現れる。
③脈弦数有力:血熱のため、血流が盛んになって現れる。
【治療】
治法:清熱涼血
【4血寒証】
血寒証は、局部の脈絡が寒凝気滞のために、血行障害を引き起こして現れる
証候のことである。寒邪の感受または陰寒の内盛により、血脈の運行が
障害されておこるものが多い。
【臨床所見】
手足局部に疼痛がおこる、皮膚は紫暗色で冷たい、冷えるのを嫌がり、
温めると疼痛は軽減する、あるいは少腹が痛む、四肢の冷え、月経が遅れる、
経色紫暗 、血塊がある、舌質淡暗で舌苔白、脈沈濇。
【証候分析】
①手足の疼痛、皮膚は紫暗色で冷たい:
寒邪の侵襲により、脈道が収束し、気血が
手足に行き届かなくなるためにおこる。
②冷えるのを嫌がり温めると痛みが軽減する:
温めると血行がよくなり、冷やすと血行が悪くなるためである。
③少腹冷痛:月経時に寒冷刺激を受け、寒が血脈に影響するためにおこる。
④四肢の冷え:陽気が阻害され、肌膚を温煦できないためにおこる。
⑤月経経色紫暗 、血塊がある:
寒が胞宮に作用し、経血がその影響を受けておこる。
⑥舌質淡暗で舌苔白:寒が経脈に作用し、舌への
気血の運行が阻害されておこる。
⑦脈沈遅濇:沈脈は裏、遅脈は寒、濇脈は瘀とそれぞれ関係がある。
脈沈遅濇は寒凝血瘀の象である。
【治療】
治法:温経散寒去瘀
次回は気病と血病が同時に現れる気血同病弁証に
ついて書いていきたいと思います。
北野
参考文献:
『針灸学』 東洋学術出版社
『中医診断学ノート』 東洋学術出版社