下積み修行中の小堀のお勉強記事です。
勉強中でまだまだ至らない内容ですが、
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小堀です。
今日は癲狂篇を学んで参ります。
癲と狂はいずれも精神に異常をきたす疾患である。
癲:静的で、口数も少なく言葉に脈絡がなく、よく喜びを表現する。
狂:動的で、騒がしく落ち着きがなく、苛立ち、むやみに人を殴り罵り、よく動き回り怒りっぽい。
これらは相互に転化するため癲狂と称されている。
(『中医内科学』より)
ここでは、それぞれの症状と治療法について述べられている。
目眥外決于面者、為鋭眥、在内近鼻者、為内眥。上為外眥、下為内眥。
目の上下内外の名称について書かれている。
(張介賓の説に「人身の臓腑の神は目に現れる。」とある。)
癲疾始生、先不楽、頭重痛、視、挙目赤。甚作極、已而煩心。候之于顏。
取手太陽陽明太陰、血変而止。
癲疾始作、而引口啼呼喘悸者、候之手陽明太陽。
左強者攻其右、右強者攻其左、血変而止。
癲疾始作、先反僵、因而脊痛、候之足太陽陽明太陰手太陽、血変而止。
治癲疾者、常与之居、察其所当取之処、病至、視之、有過者写之。
置其血于瓠壺之中。至其発時、血独動矣。不動、灸窮骨二十壮、窮骨者骶骨也。
・癲証について
病人は楽しむ事ができず、頭が重く痛み、目を赤くして物を直視する。
煩心して落ちつかなくなり、顔にもみてとれる。
手太陽小腸経(支正・小海穴)、手陽明大腸経(偏歴・温溜穴)
手太陰肺経(太淵・列欠穴)に取穴し、血色が戻ったら抜鍼する。
口がひきつれ泣き叫び、動悸がある時は、手陽明大腸経・手太陽小腸経に取穴。
左側に病があれば右側に、右側に病があれば左側に刺鍼する。
(繆刺法であり、病が絡脈にある場合用いられる)
背が反って強ばり、痛みがある時は、
足太陽膀胱経(委陽・飛揚・僕参・金門穴)・足陽明胃経(三里・解渓穴)
・足太陰脾経(隠白・公孫穴)手太陽小腸経を取穴し、血色が戻ったら抜鍼する。
癲疾の治療に際しては、常に医師と患者が起居を共にし、病をよく観て治療に当たる。
発病すれば瀉血し、その血を瓢箪の中に入れておくと、
次に再発した時にその血は(病に感応して)独り動くものだが、
もし動かなければ長強穴(督脈)に二十壮の灸を据える。
骨癲疾者、顑齒諸腧分肉、皆満而骨居、汗出煩悗。嘔多沃沫、気下泄、不治。
筋癲疾者、身倦攣急大。刺項大経之大杼脉。嘔多沃沫、気下泄、不治。
脉癲疾者、暴仆、四肢之脉皆脹而縦。脉満、尽刺之出血。
不満、灸之挾項太陽、灸帯脉于腰相去三寸、諸分肉本輸。
嘔多沃沫、気下泄、不治。癲疾者、疾発如狂者、死不治。
◉骨癲疾:病が深く骨まで達した者。
顎や歯の肌肉に邪気が満ちて骨だけになり、汗がでて煩悶する。
◉筋癲疾:病が深く筋まで達した者。身が曲がって痙攣して大脈。
膀胱経の大杼穴に刺鍼する。
◉脉癲疾:病が深く脈まで達した者。
突然倒れ、四肢の脈が皆脹満ちて弛緩しており、これを瀉血する。
脹満してないところは、項の両側の足膀胱経に灸するのがよい。
これらは皆、白い唾液を多く吐き、気が下泄すれば不治である。
狂始生、先自悲也。喜忘、苦怒、善恐者、得之憂飢。
治之取手太陰陽明、血変而止、及取足太陰陽明。
狂始発、少臥、不飢、自高賢也、自弁智也、自尊貴也、善罵詈、日夜不休。
治之取手陽明太陽太陰舌下少陰。視之盛者、皆取之、不盛、釈之也。
狂言、驚、善笑、好歌楽、妄行不休者、得之大恐。
治之取手陽明太陽太陰。狂、目妄見、耳妄聞、善呼者、少気之所生也。
治之取手太陽太陰陽明足太陰頭両顑。
狂者 多食、善見鬼神、善笑而不発于外者、得之有所大喜。
治之取足太陰太陽陽明、後取手太陰太陽陽明。
狂而新発、未応如此者、先取曲泉左右動脉、及盛者見血。
有頃已。不已、以法取之、灸骨骶二十壮。
・狂証について
過剰に悲しみ、飢えると諸臓腑の症状が皆現れる。
よく忘れたり、怒ったり、よく恐れる。
治療:手太陰肺経(列欠・太淵穴)・手陽明大腸経(偏歴・温溜穴)に取穴して
血色が良くなれば止め、足太陰脾経(隠白・公孫穴)・足陽明胃経(三里・解渓穴)にとる。
眠らず、飢えず、自らを高貴で物知りとし、よく人を罵り、昼夜休まなくなるもの。
治療:手陽明大腸経・手太陽小腸経・手太陰肺経・舌下(廉泉穴)・手少陰心経(神門・少衝穴)。
血脈が盛んなときのみ刺鍼する。
恐しい事にあい、狂言し、驚き、よく笑い、歌を好み、それを休まず続けるもの。
治療:手陽明大腸経・手太陽小腸経・手太陰肺経を取穴。
神気が衰え、幻視や幻聴があり、よく叫ぶもの。
治療:手太陽小腸経・手太陰肺経・手陽明大腸経・足太陰脾経・頭部・両顎
過剰に喜びすぎて、よく食べ、よく鬼神をみて、よく笑うが外にださないもの。
治療:足太陰脾経・足太陽膀胱経・足陽明胃経、後に手太陰肺経・手太陽小腸経・手陽明大腸経
発狂してまだ症状がでないものは、左右の曲泉穴(足厥陰肝経)に刺鍼する。
血脈が盛んであれば瀉血し、治癒しなければ長強穴(督脈)に二十壮の灸を据える。
風逆、暴四肢腫、身漯漯、唏然時寒、飢則煩、飽則善変。
取手太陰表裏、足少陰陽明之経。肉清取滎、骨清取井経也。
厥逆為病也、足暴清、胸若将裂、腸若将以刀切之、煩而不能食、脉大小皆濇。
暖取足少陰、清取足陽明。清則補之、温則写之。
厥逆腹脹満、腸鳴、胸満不得息、取之下胸二脇欬而動手者、
与背腧以手按之立快者、是也。
内閉不得溲、刺足少陰太陽与骶上以長鍼。
気逆則取其太陰陽明厥陰、甚取少陰陽明動者之経也。
少気、身漯漯也、言吸吸也、骨痠體重、懈惰不能動、補足少陰。
短気、息短不属、動作気索、補足少陰、去血絡也。
◉風逆症:外に風邪を受けて、内に厥気が逆するもの。
四肢が腫れ、身が水気で震え、悪寒し、飢えれば煩悶して
満腹になるとまた同じように煩悶する。
治療:手太陰肺経・手陽明大腸経、足少陰腎経・足陽明胃経
肌肉が冷える時は滎穴に、骨が冷える時は井穴と経穴にとる。
◉厥逆病:両足の冷え、胸が痛み、腸が刀で切られたように痛む。
煩悶して食べられず、濇脈。
治療:体が暖かければ足少陰腎経を瀉し、冷えていれば足陽明胃経を補う。
◉厥逆病で腹が張り、腹鳴があり、胸がいっぱいで呼吸ができないもの。
治療:両脇下(章門(臓会穴)・期門穴(肝の募穴))と、
背に手を置いて心地よい処に刺鍼する。
◉下焦の気化作用が失調して、排尿困難なもの。
治療:足少陰腎経・足太陽膀胱経・長強穴(督脈)に長鍼
気逆するようなものは、足太陰・足陽明・足厥陰経にとり、
症状が甚だしければ足少陰経・足陽明経にとる。
◉少気のため悪寒し震え、言葉が続かず、関節痛で、体が重怠く動けないもの。
治療:足少陰腎経に補法。
◉息切れし、呼吸が絶え、動くと疲労するもの。
治療:足少陰腎経に補法。瘀血があれば瀉血する。
参考文献:
『現代語訳黄帝内経霊枢』
『中医内科学』
『中医基本用語辞典』東洋学術出版社
『鍼灸医学大系⑰』雄渾社
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小堀