こんにちは北野です!
今日は八綱弁証の続きを書いていきたいと思います。
陰陽
陰陽とは八綱弁証の総綱である。
これに診断を応用すると、
すべての疾病を病理の性質にもとづいて、
陰陽に分類し、鑑別することができる。
《1》陰証
「陰」の属性をもつ症候を陰証といい、
これには裏証、寒証、虚証がある。
【臨床所見】
顔面暗淡、精神萎縻、寒がり、
四肢の冷え、倦怠無力、語勢低微、
口淡不渇、尿清、便溏、舌淡胖嫩、
脈沈遅、弱、細穡など。
【症候分析】
①面色暗淡、精神萎縻、寒がり、
四肢の冷え、倦怠無力、語勢低微:虚証の臨床所見である。
②寒がり、四肢の冷え、口淡不渇、
尿清、便溏:寒証の臨床所見である。
③舌淡胖嫩、脈沈遅、弱、細穡:
虚、あるいは虚寒の象である。
【治療】
治法 :温陽補虚散寒
治療:臓腑弁証、経絡弁証、気血弁証にもとづき決定する。
《2》陽証
「陽」の属性をもつ症候を陽証といい、
これには表証、熱証、実証がある。
【臨床所見】
発熱、心煩、躁動、語勢が荒い、
罵声をあげる、呼吸が荒い、口乾口渇、
大便秘結、小便短赤、舌質紅絳、
舌苔黄黒で芒刺がある、脈浮数、洪大、滑実など。
【症候分析】
①発熱、躁動、口乾口渇:熱証の所見である
②語勢が荒い、罵声をあげる、
呼吸が荒い、大便秘結:実証の所見である。
③舌質紅絳、苔黄黒で芒刺がある、
脈浮数、洪大、滑実:実熱の象である。
【治療】
治法:清泄実熱
《3》亡陰と亡陽
亡陰と亡陽は危険な症候である。
これらは高熱による大汗、発汗過多、
過度の吐瀉、過度の出血などによって現れる。
とりわけ大汗によって亡陰、亡陽が引き起こされる事が多い。
【臨床所見】
亡陰と亡陽の臨床所見は、汗を重視する必要がある。
亡陰の汗は熱っぽく粘っこいのが特徴で、
肌膚熱、手足が温かい、脈細数で陰液欲脱の症状を伴う。
一方、亡陽の汗はサラっとしていて冷たいのが特徴で、
肌膚涼、手足が冷たい、精神疲労、脈微欲脱などの症状を伴う。
【治療】
亡陰と亡陽の治療には、益気、回陽、
救陽、固脱法を用いるとよい。
関元、神闕、足三里などに鍼や灸法を併用する。
さらに中薬治療も併用すると良い。
次回からは新たに、気血津液弁証について
書いていきたいと思います。
参考文献:
『針灸学』 東洋学術出版社
『中医診断学ノート』 東洋学術出版社
北野