こんにちは、大原です。
前回は、霊枢経脈篇(第10)の記述の中で、
あまり聞き慣れない「尾翳」穴とは何か?
また、脾経には絡穴がなぜ二つあるのか?
などの疑問が出たところで終わりました。
尾翳穴については次のように記されています。
<霊枢経脈篇より 尾翳穴について>
任脈之別、名曰尾翳。
(任脈の別は、名付けて「尾翳」という。)
下鳩尾、散干散。
(鳩尾を下行して、腹部に散じる。)
実則腹皮痛。
(邪実があると腹部の皮膚が痛む。)
虚則癢掻。
(正気の虚があればかゆくなる。)
解説の注釈文では
「尾翳」穴には二つの説がある。
①一つは会陰穴を指すという説
②もう一つは鳩尾穴を指すという説
①の場合、
督脈の絡穴と同じになるということですね。
任脈と督脈(と衝脈)は、
どれも胞宮(子宮のこと)から出るという
一源三岐(いちげんさんき)の考え方からすると、
胞宮の気が体表に出てくる会陰穴は
督脈の絡穴ですが、
同じく任脈の絡穴であると考えても
おかしくないということだと思います。
②は、霊枢の文章で
「鳩尾(みぞおち)を下行して、腹部に散じる」という
絡脈についての記述から、自然に考えて
鳩尾(みぞおち)部分に絡穴がある
ということだと思います。
これら二つのうち、②の方が多数説のようで、
現在の経穴の教科書でも
そのまま「鳩尾」穴が任脈の絡穴とされています。
長くなりましたので、もう一つの
脾経の絡穴についての考察は
次回にしたいと思います。
参考文献:
『黄帝内経 霊枢』 東洋学術出版社
『新版 経絡経穴概論』 医道の日本社
*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。
大原