下野です。

11/3の朝は霧が濃く立ち籠め、
その影響から
鉄道も僅かですが
遅れて運行されていました。
こういった日は、
歩いていても先が見え辛いので、
注意が必要ですね。

霧 2015.11.3 am6:00
霧 2015.11.3 am6:00

では『薬性の歌』に参ります。


【原文】
麦芽甘温、能消宿食、心腹膨脹、行血散滞。
蘇子味辛、驅痰降気、止咳定喘、更潤心肺。
白芥子辛、専化脇痰、瘧蒸痞塊、服之能安。
甘遂苦寒、破癥消痰、面浮蠱脹、利水能安。
大戟甘寒、消水利便、腫脹癥堅、其功瞑眩。

<第二十二に続く>


【解説】
麦芽は甘温。
消食の効能がある。
心腹の膨張や
血を動かし滞りを散じる。

蘇子の味は辛。
気を降ろして消痰し、
咳を止めて喘を鎮める。
また心肺を潤す。

白芥子は辛。
専ら脇痰を化して
瘧蒸、痞塊に効果がある。

甘遂は苦寒。
癥を破って痰を消す。
顔の浮腫や腸満に用い、
水を利して効果あり。

大戟は甘寒。
瀉水して便を利し、
腫脹や癥の堅いものに。
其の効は瞑眩する。

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◉麦芽

イネ科オオムギの発芽したもみ。
性味:甘・平
帰経:脾・胃
効能:
①健脾開胃・行気消食
・食積の腹満に。
・脾胃の虚弱による食欲不振に。

②舒肝
肝気鬱滞の胸脇の張りや曖気などに・

③回乳
乳汁の鬱滞による乳房の脹痛や
授乳を中止せざるおえない状況に。

◉蘇子

シソ科のチリメンジソ等やそれらの品種の分果。
性味:辛・温
帰経:肺・大腸
効能:
①下気消痰・止咳平喘
・痰壅気逆の咳嗽や呼吸困難、喘鳴などに。
方剤例 → 蘇子降気湯・三子養親湯

②寛腸潤燥
・腸燥の便秘に。
方剤例 → 紫蘇麻仁粥

◉白芥子

アブラナ科のシロガラシの成熟した種子。
性味:辛・温
帰経:肺・胃
効能:
①豁痰利気
・寒痰壅肺の痰や咳嗽・呼吸困難などに。
方剤例 → 三子養親湯
・痰飲積滞胸脇の咳嗽や呼吸困難、胸痛に。
方剤例 → 控涎丹

②散結消腫
・痰留経絡による四肢関節の痛みに、
方剤例 → 白芥子散
・流注膿瘍や慢性で化膿傾向に乏しい陰疽に。
方剤例 → 陽和湯
・痰核や陰疽に。

◉甘遂

甘遂
甘遂

トウダイグサ科のトウダイグサ属の根部。
性味:苦・寒・有毒
帰経:肺・脾・腎
※本多先生による解説はこちら → 大黄甘遂湯/腹證奇覧

甘遂と
次にご紹介する大戟ともに
トウダイグサであり、
このトウダイグサ科は約300属以上で、
7500種以上の植物と言われています。
「トウダイグサ」とは和名で、
その由来は草の姿が
灯明台に譬えたもののようです。

◉大戟

トウダイグサ科のトウダイグサ属植物の根部。
またこれが古来からの正品であり、
京大戟と称されている。
性味:苦・寒・有毒
帰経:肺・脾・腎
※為沢先生による解説はこちら
【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百五十二章
※本多先生による解説はこちら → 十棗湯/腹證奇覧


<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

下野

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