こんにちは!北野です!
今回は前回の続きで八綱弁証の寒熱について
書いていきたいと思います。
寒熱
寒熱は疾病の性質を区別する綱領である。
寒証と熱証は、身体の陰陽平衡状態を反映したものである。
陰盛あるいは陽虚は寒証として現れ、
また陽盛あるいは陰虚は熱証として現れる。
●寒証
【概念】
寒邪を感受するか、あるいは
臓腑の陽気が不足することによって生じる。
人体の機能低下を表す証候。
寒証には、表寒、裏寒、虚寒、実寒がある。
【病因病機】
・外感病 寒邪を感受 …………… 実寒証
・内感病 久病で陽気を損傷……虚寒証
【臨床所見】
寒がり温まるのを好む、顔面晄白、四肢が冷える、
口淡で口渇はない、痰、涎、涕は水様である、
小便清長、大便は水様あるいは泥状、舌淡、
舌苔は白で潤滑、遅脈あるいは緊脈。
【証候分析】
①陽気不足:
陽気が身体を正常に温煦できなくなると、
寒がり温まるのを好む、四肢が冷える、
顔面胱白などの症状が現れやすい。
②口淡で口渇はない:
陰寒内盛となり津液は
損傷していないのでこのような状態になる。
③痰、涎、涕、尿などの分泌物は清冷:
陽虚により水液を温化できないためにおこる。
④大便は水様あるいは泥状:
寒邪が脾を損傷したり、
脾陽虚であると脾の運化機能が失調して、
大便が水様あるいは泥状になる。
⑤舌淡・苔白潤滑:
陽虚のため気化機能が低下すると、
寒湿が内生し舌象に反映する。
⑥遅脈:
寒疑または陽気不足により血脈の運行が遅滞して現れる。
⑦緊脈:
寒邪の影響により脈道が収縮するために起こる。
【治療】
治法:温散寒邪
●熱証
【概念】
陽熱の邪(温、暑、火)を感受するか、
あるいは臓腑の陽気亢盛によって生じる、
人体の機能亢進を表す証候。
【病因病機】
外感病:
陽熱の邪を感受→臓腑の機能亢進 実熱証
内感病:
ストレス→気機鬱滞
飲食の不摂生→食積停留
房室過度、過労→腎精消耗
久病→陰液消耗
【臨床所見】
熱がり冷えるのを好む、
口渇があり冷たい物を飲みたがる、
面紅、目赤、煩操、小便短赤、大便燥結、
痰や鼻汁は黄色く粘調、吐血、舌紅、
舌苔は黄色で乾いている、脈数など。
【証候分析】
①熱がり冷えるのを好む:
陽熱が偏って盛んになるためにおこる。
②口渇があり冷たい物を飲みたがる:
熱が盛んとなり津液を損傷するために現れる。
③面紅、目赤:
火は炎上しやすく、顔や目に熱象が生じる。
④煩燥:
熱が心神に影響するとおこる。
⑤小便短赤:
熱が強く津液を損傷するために生じる。
⑥大便燥結:
陽熱により津液を損傷し、
腸燥となり腸の伝導機能が失調しておこる。
⑦痰、鼻汁などの分泌物が黄色く粘調:
陽熱の作用によって津液が
薫蒸されると、黄色く粘調となる。
⑧吐血:
火熱の邪が血絡に影響する。
⑨舌紅、舌苔黄:
熱証の所見、舌が乾いて津液が
少ないのは陰の損傷による。
⑩数脈:
陽熱が亢進すると、心の鼓動が加速され、
血行も早くなるため数脈が現れる。
【治療】
治法:清熱瀉火あるいは清熱養陰
次回は、寒熱と表裏の関係について、
書いていきたいと思います。
参考文献:
『中医診断学ノート』 東洋学術出版社
『針灸学』 東洋学術出版社
北野