懸顱二穴
額の大角の下、頷厭の下、
肉少し高く凸なる処、
灸三壮、針二三分、
とどむること三呼、
あるひは七分留ること七呼、
深く刺せば耳聾ず、
頭痛、牙歯いたみ、面赤くはれ、
熱病煩れ悶へ、濁涕でるを。

懸釐二穴
けんろの下、
米咬の下つらに骨のわれめある処、
灸三壮、針三分留ること七呼、
面赤く腫、偏頭痛み、
煩心食を欲ず、熱病汗出でず、
目眥赤くいたむをつかさどる。

曲鬢二穴
耳の上の少し前、曲隅の中、
針三分、灸三壮あるひは七壮、
頷腫痛、口噤め、言うこと能わず、
頚項かへりみることを得ず、
脳の両角痛んで目に引くを治す。

率谷二穴
耳の上髪際を竪に入ること一寸五分、
少し三分ほど前へよせめに點す、
針三分、灸三壮、痰気、膈いたみ、
頭脳痛、頭重く、酒風、
皮膚腫、胃寒え煩悶、
嘔吐を。

〜『鍼灸重宝記』より〜

鍼灸重宝記より経絡要穴之目録の頭面の部から
足の少陽胆経より懸顱、懸釐、曲鬢、率谷を抜粋。

懸顱、懸釐の懸という字には
「吊り下がる」「かける」という
懸顱、懸釐の場所が側頭部にかかるという場所的な意味だけでなく
「断ち切る」「開放する」という意味も含まれ、
ともに熱病や頭痛に関係が深いとされています。

 

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