下野です。
以前観た時は話が今ひとつ
理解できなかったのですが、
音楽だけが常に耳に残っておりました。
改めて観てみることで、
この作品が25年以上も公演され
続ける理由がわかったような気がします。
では『万病回春』の記事に参りましょう。
【原文】
七方者、
大、小、緩、急、奇、偶、復也。
大者、君一臣三佐九、制之大也。
遠而奇偶制其大服也、大則数少、
少則二之、腎肝位遠、服湯散不厭頻而多。
小者、君一臣二制之小也。
近而奇偶制小其服也、小則数多、
多則九之、心肺近、服湯散不厭頻而少。
緩者、補上治上、制以緩、緩則気味薄也。
治主以緩、緩則治其本。
急者、補下治下、制以急、急則気味厚也。
治客以急、急則治其標。
奇者、君一臣二、奇之制也。
君二臣三、奇之制也。陽数奇。
偶者、君二臣四,偶之制也。
君二臣六,偶之制也。陰数偶。
復者、奇之不去則偶。
之是為重方也。
十剤者、
宣、通、補、瀉、軽、重、滑、渋、燥、湿也。
宣可以去壅、姜橘之属是也。
通可以去滞、木通防己之属是也。
補可以去弱、人参羊肉之属是也。
瀉可以去閉、葶藶大黃之属是也。
軽可以去実、麻黃葛根之属是也。
重可以去怯、磁石鐵漿之属是也。
滑可以去著、冬葵子榆白皮之属是也。
渋可以去脱、 牡蠣龍骨之属是也。
燥可以去湿、桑白皮赤小豆之属是也。
湿可以去枯、白石英紫石英之属是也。
寒可以去熱、大黃朴硝之属是也。
熱可以去寒、附子官桂之属是也。
<第二十に続く>
【現代語訳・解説】
七方とは、
大、小、緩、急、奇、偶、復である。
大の処方は
君薬一、臣薬三、佐薬九を用いる。
大の処方にする。
大は数が少なく、小はこれを二にする。
腎肝は遠とし、湯散を服し頻にして多きを厭わず。
小の処方は、君一臣二を用いる。
病が近いところには奇方を用い、
小は数が多く、大はこれに九を用いる。
心肺は近とし、湯散を服し頻にして少なきを厭わず。
緩方は、上を補して治し、その気味は薄い。
主を治するには緩で、緩は本を治す。
急方は、下を補して治し、その気味厚い。
客を治するには急で、急は標を治す。
奇方は、君一臣二、君二臣三、奇の制である。
陽の数は奇である。
偶方は、君二臣四、君二臣六、偶の制である。
陰の数は偶である。
復方は、奇で病が去らない時は偶にし、
これを重方とする。
十剤は、
宣、通、補、瀉、軽、重、滑、渋、燥、湿である。
宣は壅を去り、姜、橘の属である。
通は滞を去り、通草、防己の属である。
補は弱を去り、人参、羊肉の属である。
瀉は閉を去り、葶藶、大黃の属である。
軽は実を去り、麻黃、葛根の属である。
重は怯を去り、磁石、鐵粉の属である。
滑は著を去り、冬葵、榆皮の属である。
渋は脱を去り、牡蠣、龍骨の属である。
燥は湿を去り、桑白皮、赤小豆の属である。
湿は枯を去り、白石英、紫石英の属である。
寒は熱を去り、大黃、朴硝の属である。
熱は寒を去り、附子、官桂の属である。
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ここでは薬剤の説明がなされている。
七方とは、
薬剤の大小、作用の緩急、組み合わせの奇偶
で区別する方法である。
大小とは、
大は遠位の病を治す処方で、
服薬回数は少ないものであり、
反対に小は近位の病を治す処方で、
服薬回数が多い。
病の遠近に関しては、
心肺を近、腎肝を遠、脾胃を中や
体の上を近、下を遠、
または表を遠、裏を近と言われている。
また君、臣、佐とは、
上薬、中薬、下薬のことである。
十剤は、
薬物の作用を十種に分けたもので、
生薬の作用に関しては
『万金一統の述』の後の
『薬性の歌』で説明されている。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『難経解説』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 上巻』 東洋学術出版社
『現代語訳◉黄帝内経素問 下巻』 東洋学術出版社
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下野