宮村です。
今回は桂枝湯、桂枝葛根湯、葛根湯について勉強した内容書いていきます。
●桂枝湯
効能:解肌発表、調和営衞
主治:風寒表証(表寒表虚証)
“太陽中風、陽浮而陰弱、陽浮者、熱自発、陰弱者、汗自出。
嗇嗇悪寒、淅淅悪風、翕翕発熱、鼻鳴、乾嘔者、桂枝湯主之。”
(傷寒論 弁太陽病脈証并治 上 十二章)
和訓
“太陽の中風、陽浮にして陰弱、陽浮の者は熱自ら発し、
陰弱の者は汗自ら出ず。嗇嗇として悪寒し、淅淅として悪風し、
翕翕として発熱し、鼻鳴、乾嘔の者は、桂枝湯之を主る。”
散寒薬である桂枝で発表散寒を行い、太陽風寒を除く。
(詳しい組成などはこちらを参照下さい→https://www.1sshindo.com/blog/zenith848/
●桂枝加葛根湯
効能:解肌舒筋
“太陽病、項背強几几、反汗出悪風者、桂枝加葛根湯主之。”
(傷寒論 弁太陽病脈証并治 上 十四章)
和訓
“太陽病、項背強ばること几几、反って汗出で、
悪風する者、桂枝加葛根湯之を主る。”
桂枝加葛根湯は桂枝湯に葛根を加えたもので、
桂枝湯証と同時に項背部の強ばりがみられる者の治療に用いられる。
これは風邪が太陽の表だけでなく陽明肌腠にも侵入している状態で、
桂枝で太陽風寒を除きつつ、
辛凉解表薬である葛根を加えて透熱散邪を促す。
(詳しい組成などはこちらを参照→https://www.1sshindo.com/blog/zenith910/)
●葛根湯
効能:解肌発汗、舒筋
“太陽病、項背強、几几、無汗、悪風、葛根湯主之。”
(傷寒論 弁太陽病脈証并治 中 三十一章)
和訓
“太陽病、項背強ばること几几、汗無く、
悪風するは、葛根湯之を主る。”
桂枝加葛根湯に麻黄を加えたものである。
桂枝加葛根湯証の様に項背部の強ばりがあるが、
無汗の者の治療に用いられる。
これは汗なく、悪風するという表閉営鬱の状態で、
風寒が太陽、陽明の肌表を閉じる為に邪正相争による熱が
外泄できずにいる状態です。
辛温解表薬である麻黄によって発汗を促し、強く散邪するのである。
(詳しい組成などはこちらを参照→https://www.1sshindo.com/blog/zenith1522/)
この様に三つの方剤の証を比較すると、
同じ太陽病でも陽明への伝変によって
の症状や方剤が変化していることがわかります。
参考文献:
『中医臨床のための方剤学』 神戸中医学研究会
『入門 傷寒論』 南山堂
『中国傷寒論解説』 東洋学術出版
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
宮村