こんにちは。大濱です。
大陵の穴性について調べた事を記してしていきます。
< 要穴 >
◯ 手厥陰心包経 兪土穴 原穴
◯ 心包は相火に属し、大陵は土に属する。
火が土を生じる五行の相生関係から、
手厥陰心包経の子穴でもある。
大陵は掌根の隆起部にあり、
形状が丘陵に似ていることから命名された。
別名：心主・鬼心
大陵は心・心包と関係のある神志病
情志の失調や気機の阻滞によりおこる
病変を主治するとされる。
＜穴の特性＞
清熱安神・清営凉血・凉血清血
清心寧神・和胃寛胸
濁気が心を衝いて昇るものを清粛する。
心気を調え濁気を降す。
心胸の熱を清す。
<治療範囲>
1. 神志病証
『霊枢』邪客篇
「少陰は心脈なり。心は五臓六腑の大主なり。
精神の舎する所なり。
其の蔵は堅固にして、邪は容る能わざるなり。
之を容るるときは則ち心傷る。
心傷るるときは則ち神去る。
神去るときは則ち死す。
故に諸邪の心に在る者は皆心の包絡に在るなり。
包絡は心主の脈なり。」
とある。
邪気が心を犯し、心包が邪を受けると
心の機能に影響する。
温邪逆伝して心包に陥入し
心神に影響しておこる神志病や、
痰火上擾して心包を蒙閉しておこる
神志病などである。
例えば、過度の思慮により肝気が鬱して、
脾気が昇らず、気鬱痰結して神明を蒙閉して起こる癲症や、
肝を傷り、肝火亢進して火盛痰結となり
神明に上擾して心竅が蒙閉され
神志が逆乱しておこる狂証 など。
心包絡の子穴を瀉し、心火を清熱し心神を安定させる作用がある。
2. 心血脈病
心は血の運行を主る。
心包は心の外膜であり、
絡は膜外の気血の通行する道路であり
心包絡は心が主る経脈である。
気が脈中に滞り、
心絡瘀阻となっておこる病証の治療では
大陵を瀉して心絡の通暢をはかるとよい。
3. 気機阻滞によりおこる病証
行気散滞の作用が生じ、情志失調、
気機阻滞、気滞血瘀によりおこる
胸脇部・胃・腹部の疾患、積聚などを治療できる。
また、書籍の中には、
内関と同じような働きをする
という記載もありました。
尺膚診では、咽頭部を主る部位が大陵にあたり、
非常に興味深く思います。
《参考文献》
『臨床経穴学』 著：李世珍
『穴性学ハンドブック』 著：佐藤弘 伴尚志
『腧穴学』 主編：楊甲三
『体表観察学』 藤原蓮風 著
