こんにちは。
本院受付の日下です。
今回は五味の一つ、辛味の持つ(散・行)の内の行の続きを書いていきます。
前回の記事では行気について書いていき、方剤として使われるシーンとしては、
①そこに気滯が生まれている
②気滯が生まれやすい状況を予防する
シーンがあるとご紹介しました。
①のパターンとして運用する際は、生薬個々の特性を考え、
それがどの臓腑経絡に作用するのかを理解している事が大切だと思います。
また、行気に限らない話ですが、
中医臨床のための中薬学 P23
《素問・宣明五気篇》に
「散は肝(木)に入り、苦は心(火)に入り、甘は脾(土)に入り、辛は肺(金)に入り、鹹は腎(水)に入る」
と統括されている。
ただし、これは一般的な法則であり、固定普変のものとみなし機械的にとらえてはならない。
たとえば、黄柏は苦味であるが心火ではなく腎火を瀉し…」
とある様に中薬を運用する際は五行学説に引っ張られ過ぎないように
気をつける必要があると思います。
例えば陳皮ですと
同書籍 P259
「陳皮は辛散苦降し、薬性が温和で芳香醒脾にも働き…
①理気健脾
脾胃気滞の腹満・悪心・嘔吐・下痢などに、木香・縮砂・半夏・枳殻などと用いる。」
とある様に辛温芳香の作用により脾胃の気滞を解除します。
この場合肺は関与していません。
《参考文献》
中医臨床のための中薬学 東洋学術出版社 神戸中医学研究所編著