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こんにちは、為沢です。

久しぶりの中国医学史の記事です。
今回は楊上善ようじょうぜんを紹介します。

楊上善ようじょうぜん
(575年〜670年)

隋・唐時代の医学者。
『旧唐書』や『古今医説』によると
その卓越した医術により605~616年にかけて
皇室の侍医を務める傍ら、町の開業医でもありました。
彼は『素問』『霊枢』を熱心に研究し、
本格的な研究書である『黄帝内経太素』全三十巻を書き上げました。
この書は『素問』『霊枢』を整理し、
『霊枢』の文章にまで注をつけた初めての書籍でしたが
中国では宋の時代に戦禍の中 散失してしまいました。

時代は下り十九世紀、
中国で散失してしまった『太素』は
日本の京都にある仁和寺で発見されました。
この時発見されたのは全三十巻の内、二十三巻でしたが
当時日本で盛んであった考証学派にとっては衝撃的な出来事だったようで、
多紀元堅たきもとかた『素問紹識』
渋江抽斎しぶえちゅうさい『霊枢講義』
森立之もりたつゆき『素問攷注』などの名著は
『太素』の出現により
めざましい研究成果を遂げたのでありました。

楊上善はまた『黄帝内經明堂類成』全十三巻を編注しました。
この書籍は経脈・経穴に関する専門書で、
『太素』『明堂類成』2つ揃って
黄帝内経のテキストとして世に伝えられましたが
『明堂類成』も長年の月日を経て散失してしまったようです。

楊上善の人物像より
書籍の解説になってしまいましたが、
仁和寺で見つかった手写による黄帝内経太素のほんの一部が
文化庁の国指定文化財等データベースにて閲覧できますので
興味のある方は見てみてください。


参考文献:
『東洋医学 基礎編』
『いちばんわかる!東洋医学のきほん帳』学研
『東洋医学概論』医道の日本社
『現代語訳◉黄帝内経素問』
『現代語訳◉黄帝内経霊枢』
『中国医学の歴史』
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社

為沢

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