こんにちは、大原です。
前回の続きになります。
(前回 鍼灸甲乙経を読む その63)
ここから再び『霊枢』の「陰陽二十五人(64)」に戻ります。
曰「二十五人者、刺之有約乎?」
曰「美眉者、足太陽之脉血氣多。
惡眉者、氣血少。
其肥而澤者、血氣有餘。
肥而不澤者、氣有餘血不足。
痩而無澤者、血氣倶不足。
審察其形氣有餘不足而調之、可以知順逆矣。」
(意味)
「二十五種の不同形の者に対する刺鍼には
何か一定の法則というようなものはあるのか?」
「眉の美しい者は足の太陽の脈の気血多く、
眉の悪いものは血気が少ないものであります。
肥えてツヤのあるものは血気が有余であり、
肥えていてツヤのないものは気が有余で血が不足しています。
痩せていてツヤのないものは気血ともに不足しているものです。
そこで審らかにその形気の有余不足の状態を観察し
これを調え、
逆順の区別を知らねばなりません」
曰「刺其諸陰陽奈何?」
曰「按其寸口人迎、以調陰陽、
切循其經絡之凝泣、結而不通者、此於身皆爲痛痺、甚則不行、故凝泣。
凝泣者、致氣以温之、血和乃止。
其結絡者、脉結血不行、決之乃行。
故曰、氣有餘於上者、導而下之。
氣不足於上者、推而往之。
其稽留不至者、因而迎之。
必明於經隧、乃能持之。
寒與熱争者、導而行之。
其宛陳血不結者、則而取之。
必先明知二十五人、則血氣之所在、左右上下、則刺約畢矣。」
(意味)
「その諸々の陰陽の病変を刺すにはどのようにするのか?」
「まず、その寸口と人迎の脈とを按じて、それによって陰陽盛衰の状態をうかがい、陰陽を調和するのです。
また、身体の経脈にしたがってこれをさわってみて血気凝濇の有無を探索し、もし内に鬱結して不通の病変があると痛痹を病むようになります。甚だしいときには気血の流れが止まり凝渋するようになります。
そんな場合には陽気を致してこれを温めるのでし、血が和すれば止みます。
その結絡するもので、その血が和しないものに対しては刺絡をすれば流通するようになります。
それ故に、気が上方において有余の場合にはこれを下方に導くように取穴してこれを下に導き、
もしまた、気が上方において不足している場合にはその部をよく揉按してこれをかばいかつ置鍼して気の至るごとくします。
それでも尚、気の至らないときには、
そのときの状態に応じて必ず経絡の細い末端までその状態を明らかにして実施すればこれを保つことができます。
寒と熱とが争うような場合には、導いてその調和をはかり、
また、宛陳しているが血の結ばれるまでに至っていない者に対してはそれぞれの刺法に従ってこれをゆるむようにします。
この際には必ずまず二十五種類の各々異なった類型の人の血気盛衰の体表に顕現する状態を明らかにして、
その刺鍼すべき部位を決定すべきであります。
以上で刺鍼すべき要点をおわります。」
続きます。
参考文献
『黄帝内経霊枢』 東洋学術出版社
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
『基礎中医学』 燎原
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
大原