こんにちは、大原です。
前回の続きになります。
(前回の記事:鍼灸甲乙経を読む その23)
<原文>
足陽明 外合于海水、内屬于胃。
足太陽 外合于清水、内屬于膀胱、而通水道焉。
足少陽 外合于渭水、内屬于膽。
足厥陰 外合于澠水、内屬于肝。
足太陰 外合于湖水、内屬于脾。
足少陰 外合于汝水、内屬于腎。
手陽明 外合于江水、内屬于大腸。
手太陽 外合于淮水、内屬于小腸、而水道出焉。
手少陽 外合于漯水、内屬于三焦。
手太陰 外合于河水、内屬于肺。
手心主 外合于漳水、内屬于心包。
手少陰 外合于濟水、内屬于心。
凡此五藏六府 十二經水者、外有源泉。而内有所稟、此皆内外相貫、如環無端、人經亦然。
故天爲陽、地爲陰。腰以上爲天、下爲地。
故海以北者爲陰、湖以北者爲陰中之陰、漳以南者爲陽、河以北至漳者爲陽中之陰、漯以南至江者爲陽中之太陽。
此一隅之陰陽也。所以人與天地相參也。
<読み>
足陽明は、外は海水に合し、内は胃に属す。
足太陽は、外は清水に合し、内は膀胱に属して、水道に通ず。
足少陽は、外は渭水に合し、内は膽に属す。
足厥陰は、外は澠水に合し、内は肝に属す。
足太陰は、外は湖水に合し、内は脾に属す。
足少陰は、外は汝水に合し、内は腎に属す。
手陽明は、外は江水に合し、内は大腸に属す。
手太陽は、外は淮水に合し、内は小腸に属して、水道に通ず。
手少陽は、外は漯水に合し、内は三焦に属す。
手太陰は、外は河水に合し、内は肺に属す。
手心主は、外は漳水に合し、内は心包に属す。
手少陰は、外は濟水に合し、内は心に属す。
およそこの五藏六府、十二経水なる者は、外に源泉有りて内に稟くるところあり。
これ皆内外相貫し、如環の端無きがごとし、人の経もまた然り。
故に天を陽と為し、地を陰と為す。腰以上を天と為し、下を地と為す。
故に海以北は陰と為し、湖以北は陰中の陰と為す。
漳以南は陽と為し、河以北より漳に至る者は陽中之陰と為す。
漯以南より江に至る者は陽中之太陽と為す。
此れ一隅の陰陽なり。
人と天地とは相参ずるゆえんなり。
十二経脈を、自然界の水の流れにたとえています。
最後に「人と天地とは相参ずるのであります」
と締めくくられていますね。
さて、本文で、足陽明は外は「海水」に合す、
など様々な水の種類が出てきています。
十二経脈それぞれ、なぜその水の種類なのか
後世の人が注釈をつけていますので抜粋します。
・陽明は中土に居し万物の帰するところとなす。また水穀の海となす。
故に足陽明は海水に合して内は胃に属す。
・肺は天に属して気を主り、膀胱は津液の府と為し、気を受け化して出づ。
六腑は皆濁にして膀胱の水ひとり清なり。
清水はすなわち黄河の准に合する処、分流は清河と為す。
ゆえに足の太陽は外、清水に合し、内膀胱に属して水道を通ずるなり。
・(・・・略・・)
諸陽は皆濁にして胆は中精の府と為す。独りその清を受ける。
故に足の少陽は外、渭水に合し、内、胆に属するなり。
・天下の水、皆東に去るに澠水は東より来る。故に足の厥陰は東方の肝木に応ず。
・湖水は五湖あり、すなわち洞庭・彭沢・震沢の類なり。
脾は中央に位して四旁を灌漑す。
(灌漑=水路を作って田畑に必要な水を引き、土地をうるおすこと。)
故に足の太陰は外は湖水に合し、内、脾に属するなり。
・・・自然界の水と十二経水の対応の解説は、
このあとまだ続きますが、
長くなりそうですので
このあたりでやめておきます。
続きます。
参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。