<近日開催予定のイベント情報>
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こんにちは、大原です。
前回同様、『鍼灸甲乙経』を読んでいきます。
前回から五臓の状態を観察する方法についてで、
今回は肺についてです。
<今までの「鍼灸甲乙経を読む」過去記事>
鍼灸甲乙経 巻之一
第1 精神と五臓
●その1 前半
●その2 後半
第2 五臓の五変と五腧
●その3 全文
第3 五臓六腑の陰陽表裏
●その4 全文
第4 五臓と五官
●その5 前半
●その6 後半
第5 五臓の二十五変と六腑の関係
●その7 総論、心
●その8 肺、肝
●その9 脾、腎
●その10 心の状態の観察
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(前回の続き)
<原文>
白色小理者肺小、
粗理者肺大。
巨肩反膺陷喉者肺高、
合腋張脇者肺下、
好肩背厚者肺堅、
肩背薄者肺脆、
背膺厚者肺端正、
膺偏竦者肺偏傾。
<読み>
白色小理なる者は肺小なり。
粗理なる者は肺大なり。
巨肩、反膺、陷喉する者は肺高し。
腋を合して脇の張る者は肺下し。
好肩、背厚き者は肺堅なり。
肩背薄き者は肺脆し。
背膺厚き者は肺端正なり。
膺偏竦なる者は肺偏傾するものなり。
<意味>
皮膚の色が白く肌目が細かいものは肺が小さい。
肌目のあらいものは肺が大きい。
両肩が出て胸部が開張し、胸部が突出して喉のくぼんだ姿のものは肺の位置が高い。
両脇の距離が狭窄して、脇部の開張するものは肺の位置が低い。
肩の発達が好く、背の厚いものは肺が堅実です。
肩背の薄いものは、肺は脆弱であります。
背膺(胸)の厚いものは肺は端正です。
胸が偏して全体として細くすくんでいるものは肺が偏傾しております。
さて、前回と同じように、
『霊枢』(本蔵篇(47))と比較してみましょう。
一番下の文が、『霊枢』と少し違っています。
霊枢 :脇偏疏なる者は肺偏傾するものなり。
甲乙経:膺偏竦なる者は肺偏傾するものなり。
「脇」:「わき」
「膺」:「むね」と読むが、胸骨の両傍を言う。
「疏」:まばら、隙間の空いていること。
→意味が通らず、「竦」の誤りではないかとする説あり。
「竦」:すくむ。そばだつ。
意味を確認すると、『霊枢』では、
「わきが偏してまばらで隙間の空いているものは肺が偏傾しております。」
となって意味が通りませんが、それを『甲乙経』では
「胸が偏して全体として細くすくんでいるものは肺が偏傾しております。」
と意味が通じるように修正していることが窺えます。
続きます。
参考文献
『鍼灸医学大系 黄帝内経素問』
『鍼灸医学大系 黄帝内経霊枢』雄渾社
『完訳 鍼灸甲乙経(上巻)』三和書籍
興味のおありの方は、ぜひ参考文献もお読みください。