こんにちは、為沢です。

今回は張景岳ちょうけいがくの『質疑録しつぎろく』の第七章「論無痰不作瘧」の其の一です。



和訓:
瘧は風・寒・暑・湿の邪、外感の三陽経の病爲り。
故に経に云う、夏に暑に傷さるれば、秋に風瘧を成す。
或いは先に寒に傷され、而る後に風に傷さるれば、則ち先寒後熱となる。
或いは先に風に傷され、而る後に寒に傷さるれば、則ち先熱後寒となる。
病は三陽に属し、而して寒熱の往来す、則ち少陽一経を以て主と爲す。
初めに痰の有りて、以て瘧邪の根と爲るに非らざるなり。
瘧邪は人身の衛氣に随って出入す、故に遲早有り、一日間日の發有り、
而して痰の以て瘧と爲る可きに非らざるなり、何ぞや?
人身は痰無し、痰は人身の津液なり。
其の邪の在る所に随う、而して血凝、氣滞、停飲、宿食、
則ち津液は即ち化して痰と爲る、是く痰は邪氣に従って病と成る者なり。


痰無ければ瘧を作さずを論ず

・瘧病は風・寒・暑・湿の外淫の邪を外感して起こる
三陽経(太陽・陽明・少陽)の病である。

『素問』陰陽応象大論
「夏傷於暑、秋必痎瘧。」

『素問』瘧論
「先傷於寒、而後傷於風。故先寒而後熱也。」
「先傷於風、而後傷於寒。故先熱而後寒也。」

瘧病は三陽に属しているが、
寒熱往来する病なので少陽経を主とする。

・瘧邪の根となる痰は最初から存在するものではない。

・瘧邪は身体の衛気の強弱に随って出入りするものなので、
瘧病の早い・遅い、毎日発作するもの・隔日に発作するものあり。
痰が瘧病を起こしているわけではない。何故なのか?

・身体にはもともと痰は存在しておらず、痰=津液である。
風・寒・暑・湿の邪が存在するところに
血凝、気滞、停飲、宿食などあると津液は変化して痰となるので、
瘧病は邪気によって発生した病証である。


参考文献:
『中国医典 質疑録』 緑書房
『中国医学の歴史』 東洋学術出版社
『中国鍼灸各家学説』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・素問』東洋学術出版社
『現代語訳 黄帝内経・霊枢』東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

為沢

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