こんにちは、為沢です。
仕事柄、遠出がなかなかできないので
休日には映画を観て旅した気分に浸っております。
中でも1年前に借りて観た
「into the wild」という映画が僕の中では衝撃的な作品でした。
イントゥ・ザ・ワイルド [DVD] (2009/02/27) エミール・ハーシュ、マーシャ・ゲイ・ハーデン 他 |
一人の優秀な青年が、
高学歴を投げ打って一人旅に出るという映画で、
こういうものには「自分探しの旅」というコピーをよく見ますが、
ここでの主人公は「偽りの自分を抹殺する旅」と称しております。
それはただの現実逃避ではなく、
真理を探求する純粋な青年の一人旅を描いております。
非常に熱いものを感じる良い作品です。
すみません。全く個人的な趣味の話でした。
さて、今回は望診の耳・鼻・唇を御紹介致します。
・耳
耳は腎の竅であり足少陽胆経の経絡が循行します。
耳の観察は、耳の色付きや
耳の中の状態に注意を払わなければなりません。
耳の形状や肉付きで正気の有無が確認できます。
耳の形が痩せているものは正気の弱りを表しており、
ふくよかな福耳の場合は
正気が充実していることを表しています。
余談になりますが
福耳は福相で金運に恵まれ
幸福と好運があると言われております。
福耳は中国では垂珠と呼ばれ
これは「宝石が垂れていて、富や福がここにある」という意味で
中国から日本に伝わる際、福耳=成功するとなったとのこと。
…運勢などの話になると
占い・易学の話になるので望診に話を戻します。
耳垢が黒く色あせているものは腎精が消耗しており
精が上に昇れないためにおこる危証であります。
健常な耳殻(じかく)は赤く潤っており
耳殻が薄く白か黒いものは、腎精が損傷している場合が多いです。
・鼻
鼻は肺の竅であり足陽明胃経が通り、呼気と吸気の通路で
望診の際は涕と鼻の形態を観察致します。
透き通った涕を流すのは、風寒の外感であり
黄色の濁涕を流すのは、風熱によるものを示します。
長期に渡る濁涕で腥(なまぐさ)い匂いがあるものは
鼻炎であり、これは外邪を受けたり胆経蘊熱により起こります。
鼻尖部が黄色いのは湿熱によるもの、
黒みを帯びているものは水気(水邪)によるものであります。
また、鼻尖やその周辺が赤いものを酒皶鼻(しゅさび)といい、
多くは肺と胃に熱があるためにおこります。
皆そうなるとは限りませんが、
酒をよく呑み胃に熱が籠って
鼻が赤い人をイメージして頂ければ
分かり易いかなと思います。
・唇
唇は脾の外候で足陽明胃経は唇を環るので
唇の観察によって脾胃の病変を診ます。
唇の色が薄く淡白なものは気血両虚。
青紫色は寒凝血瘀。
例として、皆さんプールに入ったあとに唇が青紫になった
経験がありませんか?
あれは身体が芯まで冷えて
脾胃が冷えた状態で起こるものであります。
深紅色は有熱、深紅色で乾燥するのは熱盛傷津、
唇が乾燥してヒビ割れるのは
外感燥邪か脾熱によるものであります。
また、口角から涎(よだれ)が流れるものは
脾虚湿盛、胃熱上蒸によるものであります。
耳・鼻・唇の望診を解説致しました。
わかりやすいように解説してみたのですが
如何でしたでしょうか?
これからもできるだけ分かり易いよう解説していきますね。
次回は歯の望診について解説致します。
参考文献:
『中医診断学ノート』
『中医学の基礎』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 神戸中医学研究会
為沢