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とある公園にて
とある公園にて(暑かったですが木陰に入ると気持ち良かったです)


こんにちは、大原です。
前回、五臓が弱る「虚労」に対する方剤の一つ
大黄䗪虫丸だいおうしゃちゅうがん」について述べていきました。
※前回の記事はこちら→【方剤学】大黄䗪虫丸

この大黄䗪虫丸は理血薬に分類され、
新血を生成できるようにするために
瘀血を除くものでした。

今回は、虚労に対する、他の方剤もみてみましょう。

〜中医臨床のための方剤学より〜
秦艽鼈甲散(じんぎょうべっこうさん)】
清熱剤の中の、虚熱を清する「清虚熱剤せいきょねつざい」に分類される。

効能:滋陰養血、清熱退蒸
組成:地骨皮じこっぴ・柴胡・鼈甲べっこう 各30g、秦艽じんぎょう・知母・当帰 各15g
粗末15gを青蒿せいこう5g・烏梅うばい1個と煎じ、空腹時に1回で服用する。

方意:鼈甲べっこう、知母、当帰  →滋陰養血
秦艽じんぎょう、柴胡、地骨皮じこっぴ青蒿 せいこう清熱除蒸
烏梅うばい  →斂陰止汗(出過ぎる汗を止める)にそれぞれ働く。
全体として滋陰養血するとともに、退熱除蒸する。
慢性消耗性疾患の高熱、
温病後期の陰分損傷で余熱が尽きない場合などに用いる。

あまり聞き慣れない方剤で、
その組成にも聞いたことのないようなものがありますね。
少し調べてみますと、

鼈甲べっこう:スッポン科のシナスッポンの背甲、または腹甲。
性味は鹹、寒で、陰虚火旺、熱病傷陰による症候に用いる。
その他、肝腫、脾腫、その他腹腔内腫瘤および無月経にも
用いられる場合がある。

秦艽じんぎょう:リンドウ科のリンドウ属植物などの根。
性味は苦・辛、平で、祛風除湿・通絡舒筋や、
化湿退黄、退虚熱・除蒸などに用いられる。
辛散苦泄し、性質が偏潤で不燥であり、
「風薬中の潤剤」と称される。
営血中の風湿の邪を捜除し和血するところに特長がある。

ここで「苦泄」とは、
苦味によって、二便を通じさせることで
湿熱邪を排泄することのようです。また、

烏梅うばい:バラ科のウメの未成熟果実を燻蒸したもの。
性味は酸・渋、平で、清涼収渋に働き、
渋腸止瀉、斂肺止咳、固崩止血の効能が主である。
蛔虫による嘔吐腹痛にも適する。

このように、
大まかに「虚熱を取り除く」といっても、
そのために滋陰や止汗が必要ということが、
組成や方意、また生薬の効能などから
分かります。


参考文献:
『入門 金匱要略』南山堂
『中医臨床のための方剤学』 東洋学術出版社
『中医臨床のための中薬学』 東洋学術出版社

※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。

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