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大阪城の敷地内にある庭園にて
大阪城の敷地内にある庭園にて

こんにちは、大原です。
前回の続きです。

<今までの記事>
上工と下工 その1 →霊枢 九鍼十二原篇(第1)
上工と下工 その2 →霊枢 九鍼十二原篇(第1)
上工と下工 その3 →素問 八正神明論篇(第26)
上工と下工 その4 →素問 八正神明論篇(第26)
上工と下工 その5 →霊枢 小鍼解篇(第3)
上工と下工 その6 →霊枢 邪気臓腑病形論(第4)

前回は、霊枢 邪気臓腑病形論(第4)にある
「上工とは皮膚や脈から病状を判断するもの」という
内容をみていきました。

この後、
邪気臓腑病形論(第4)には、
具体的に、脈状と疾病の関係について
記述されています。みていきましょう。

(以下、原文と意訳)
黄帝曰.請問脉之緩急小大滑濇之病形何如.
(脈が、緩・急・小・大・滑・濇の場合の、それぞれについて病を知りたい)

岐伯曰.臣請言五藏之病變也.
(五臓の病変について説明します。)

→すなわち、五臓それぞれに6種類の病脈があり、
それをここから説明していくということになります。

心脉急甚者.為瘈瘲.微急.為心痛引背.食不下.
緩甚.為狂笑.微緩.為伏梁在心下.上下行.時唾血.
大甚.為喉吤.微大.為心痺引背.善涙出.
小甚.為善噦.微小.為消癉.
滑甚.為善渇.微滑.為心疝引臍.小腹鳴.
濇甚.為瘖.微濇.為血溢.維厥.耳鳴.顛疾.

→心についての病脈の記述です。
6種類の脈状について、
それぞれ
程度の強・弱の2パターンで、
計12種類の脈状における
それぞれの病について
述べられています。

ちなみに、6種類の基本的な病脈は、
以下のようなイメージで良いと思います。

かん:緩い脈
きゅう:早い脈
しょう:小さな脈(細く力の無い脈)
だい:大きな脈(太く力強い脈)
かつ:玉が転がるような脈
しょく:流れの滞っているような脈

原文のままですと読解が難しいので、
原文に沿って文章を
分解して
訳していきます。

急甚:為瘈瘲.(甚だしい急:瘈瘲けいしょう(手足が萎え引きつる))
微急:為心痛引背、食不下.(わずかに急:背に引かれるような心痛、食事が通らない)

緩甚:為狂笑.(甚だしい緩:狂ったように笑う)
微緩:為伏梁在心下、上下行、時唾血.
 (わずかに緩:心下に伏梁ぶくりょう(塊)が在り、上下に動き、ときに血の混じった唾液となる。)

大甚:為喉吤.(甚だしい大:喉吤こうかい(喉の中のつかえ)在り)
微大:為心痺引背、善涙出.(わずかに大:背に引かれるような心痛があり、涙が出る)

小甚:為善噦.(甚だしい小:えつ(しゃっくり)が出る)
微小:為消癉.(わずかに小:消癉しょうたん(糖尿病のことで、消渇しょうかちともいう))


滑甚:為善渇.(甚だしい滑:喉が渇く)

微滑:為心疝引臍、小腹鳴.(わずかに滑:せん(腹痛)や腹鳴がある)

濇甚:為瘖.(甚だしい濇:いん(声が出なくなる)

微濇:為血溢、維厥、耳鳴、顛疾.
(わずかに濇:血溢けついつ(血液が脈外に溢れる)、
維厥いけつ(手足が萎えてけつ(冷えなどの症状)となる)、
耳鳴り、顛疾てんしつ(てんかん))

心脈それぞれの病の説明について、
記述は以上となります。

いろいろ症状が述べてあり記憶することは難しいと思いますが、
注意して読むと、
」の脈の場合は主に喉から上に症状が、
」の脈の場合は主に喉から下に症状が
あらわれるという区別はできそうです。

以下、肺、肝、脾、腎、と続きます。

※原文の正確な解釈については
専門書等を参照してください。


参考文献:
『黄帝内経 霊枢 上巻』 東洋学術出版社
『基礎中医学』 燎原

*画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
ぜひ参考文献を読んでみて下さい。

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