下野です。
早いもので11月も半ばですね。
少し気分は早いですが、
クリスマスソングを一曲。
エルヴィス・プレスリーや
マイケル・ジャクソンに並ぶ20世紀を
代表する歌手のフランク・シナトラと、
「クリスマスソングの王様」と称される
ビング・クロスビーのWhite Christmas。
ちなみに、
フランク・シナトラの曲は
当院1階のBGMでもかかっていますので、
興味のある方は 一度聴いてみて下さい。
では『薬性の歌』に参ります。
【原文】
芫花寒苦、能消脹蠱、利水瀉湿、止咳痰吐。
商陸辛甘、赤白各異、赤者消腫、白利水気。
海藻鹹寒、消癭散癘、除脹破癥、利水通閉。
牽牛苦寒、利水消腫、蠱脹痃癖、散滞除壅。
葶藶苦辛、利水消腫、痰咳癥瘕、治喘肺癰。
<第二十三に続く>
【解説】
芫花は寒苦。
腹部張満を治す。
水は利して、湿は瀉し、
咳嗽、痰、嘔吐を止める。
商陸は辛甘。
商陸には赤白があり、
赤は皮膚腫瘍を、白は水腫に効果がある。
海藻は鹹寒。
癭は消し、癘は散じ、
癥を破る。
水を利して、閉を通じさせる。
牽牛は苦寒。
水腫を消して
腹部張満や筋肉の引き攣れに。
壅滞に用いる。
葶藶は苦辛。
水腫を消して、
咳痰や腹内腫瘤、
肺癰を治す。
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◉芫花
ジンチョウゲ科のフジモドキの花蕾。
性味:辛・苦・寒・有毒
帰経:肺・脾・腎
※本多先生による解説はこちら → 十棗湯 / 腹證奇覧
和名の「藤擬」は、
藤の花色に似ているところから
付けられたようです。
◉商陸
ヤマゴボウの根を裂いてから
乾燥させたもの。
性味:苦・寒・有毒
帰経:肺・脾・腎
効能:
①行水退腫
・水腫実証の浮腫や腹水、尿量減少、便秘に。
方剤例 → 疎鑿飲子・商陸豆方。
②散結消腫
・皮膚化膿症に用いる。
◉海藻
ホンダワラ類の全草。
性味:鹹・苦・寒
帰経:肝・胃・腎
効能:
①消痰散結
・甲状腺腫に用いる。
方剤例 → 海藻玉壺湯・海藻丸
・頚部のリンパ節腫やしこりに。
方剤例 → 内消瘰癧丸
・睾疝や腹中の腫塊に用いる。
②利水消腫
・痰飲の水腫に。
◉牽牛子
ヒルガオ科・アサガオを意味する「牽牛」の種のこと。
性味:苦・寒・有毒
帰経:肺・腎・大腸
効能:
①行水通便
・水腫実証の腫脹や浮腫、尿量減少、便秘などに。
方剤例 → 舟車丸。
・三焦気滞による便秘に。
②下気・消痰滌飲
・痰飲壅滞の呼吸困難や咳嗽、顔目の浮腫などに。
方剤例 → 牽牛散。
③殺虫消積
・虫積による腹痛に。
方剤例 → 牛榔丸。
◉葶藶子
アブラナ科のクジラグサ、ヒメグンバイナズナなどの
成熟した種子。
性味:辛・苦・寒
帰経:肺・膀胱・大腸
※為沢先生による解説はこちら
→ 【古医書】傷寒論: 弁太陽病脈証并治(下)百三十一章
クジラグサの名前は、
細く切れ込んだ葉がクジラの髭に見えることから、
この名前になったようです。
<参考文献>
『万病回春解説』 創元社
『万病回春.巻之1-8』 早稲田大学 古典籍総合データベース
『まんが漢方入門』 医道の日本社
『中医臨床のための中薬学』 医歯薬出版株式会社
※画像や文献に関して、ご興味がおありの方は
是非参考文献を読んでみて下さい。
下野